第29条
1財産権は、これを侵してはならない。
2財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
目的
個人の基本的人権である財産権について、国はそれを奪ったり制限してはならない。(主観的保障)ただし全ての財産を無条件に保障されているのではない。客観的保障は社会国家的見地から各種の制限を加えられ得る財産権もあるとして、憲法29条2項は、財産権の内容が流動的・可変的であることを認め、「公共の福祉」のために法律で制限している。
判断基準
規制目的二分論は、規制の目的によって意見審査の基準(統制密度)を変化させる審査方法を取っている。
消極目的規制
消極目的規制とは、国民の生命および健康に対する危険を防止もしくは除去ないし緩和するための規制であり、これは厳格な合理性の審査を必要としている。
例)消極目的規制:消防法による建造物破却など
厳格な合理性の審査
規制目的の必要性・合理性および同じ目的を達成できるより緩やかな規制手段の有無を、立法事実に照らして審査する方法
積極目的規制
積極目的規制とは、福祉国家の理念に基づく経済の調和的発展と社会的・経済的弱者の保護のための規制であり、これは明白性の原則に基づき審査を行う。
例)積極目的規制:独占禁止法による私的独占の排除など
明白性の原則
立法府の裁量を広く認めて必要性合理性の判断を緩やかにし、規制措置が著しく不合理であることの明白である場合に限って違憲とする審査方法