不動産に関する物権変動

事例

 Aは、A所有の甲土地をBに対して1000万円で売却し、Aはその後甲土地をCに対して甲土地を1000万円で売却した。Bは甲土地について登記を行わずに放置していたが、Cは購入後即日に登記を行った。甲土地の所有権は誰に帰属するか。

答案

 AB間およびAC間は甲土地について民法555条に基づき売買契約を行っている。BはCに先んじて甲土地を購入しているが、CはBに先んじて登記を完了している。

(売買)第555条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

 このような状況でBとCのどちらが所有権を取得するかが問題となる。土地は不動産である(民法86条)ところ、民法177条は不動産の物権変動について登記を必要としている。登記をしなければ第三者に対抗できない。ここで第三者の意義が問題となる。第三者とは、当事者もしくは包括承継人以外の者で、不動産に関する物権の得喪について登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者と解される。したがって、民法177条に照らして登記を済ましたCに甲土地の所有権が認められる。

(不動産及び動産)第86条
 土地及びその定着物は、不動産とする。
 不動産以外の物は、すべて動産とする。

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)第177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。