当事者確定の基準【頻度3、重要度3】
当事者の確定は訴訟のあらゆる段階で重要となるため、いかなる基準により、当事者を確定すべきか問題となる。
当事者の確定は、訴えの提起後直ちに判断される必要があり、その基準は出来る限り明確でなければならない。よって、当事者の確定基準は、訴状の記載(133条2項)を合理的に解釈して決定すべきである。
氏名冒用を看過して判決を下した場合【頻度2、重要度2】
裁判所が氏名冒用に気付かずになした判決の効力は、被冒用者に及ぶか。
当事者の確定は、訴えの提起後直ちに判断される必要があり、その基準は出来る限り明確でなければならない。よって、当事者の確定基準は、訴状の記載(133条2項)を合理的に解釈して決定すべきである。そして、氏名冒用訴訟の場合、訴状に当事者として記載されるのは被冒用者であるから、被冒用者が当事者である。
よって、判決の効力は被冒用者に及ぶ(115条1項1号)。
もっとも、「訴訟行為をするのに必要な授権を欠いた」場合にあたるから、被冒用者は上訴・再審により判決の取消しを求め得る(312条2項4号および338条1項3号)。
審理途中で被告の死亡が判明【頻度2、重要度3】
死者を被告とする訴えに対し相続人が応訴した場合、どのように扱われるか。
当事者の確定は、訴えの提起後直ちに判断される必要があり、その基準は出来る限り明確でなければならない。よって、当事者の確定基準は、訴状の記載(133条2項)を合理的に解釈して決定すべきである。そして、死者を被告とする訴えの場合、訴状に当事者として記載されるのは死者であるから、死者が被告である。
したがって、訴訟要件とされる当事者の実在を欠き、原則として訴えは不適法却下となる。
それでは、当然承継(124条1項1号)の類推適用により相続人を当事者とできないか。
この点、被告の死亡時に訴訟成立の準備過程に入っていた場合には、潜在的訴訟継続があり、当然承継を類推する基礎があるといえる。
よって、拳固億の訴状提出後や訴訟代理人の選任後に被告が死亡した場合には、当然承継の類推適用を認め、相続人を当事者と考えるべきである。
また、訴状提出前に被告が死亡している場合には、当然承継が認められないが、相続人が訴状を受領し、死者の名前で応訴している場合は、たとえ訴訟準備過程前に当事者が死亡した場合であっても、任意的当事者変更の理論によって当事者を相続人に変更することができる。そして、相続人が実質的に手続きに関与していた場合には、訴訟資料を流用しても、その者の手続き保障に反せず、訴訟経済にも資することから、それまでの訴訟追行の効果を相続人に及ぼすべきである。