盗撮行為の禁止は刑法に加えるべきでは?
全ての都道府県で盗撮行為を禁止しているが、だったらなぜ刑法として一律に取り締まらないのだろうか。確かに、軽犯罪法1条23号では盗撮行為の禁止を規定しているが、これは私的な場所での撮影行為を対象としており、公共な場所を対象としていない。また、量刑が勾留(1日以上30日未満、刑法16条)又は科料(1000円以上1万円未満、刑法17条)と非常に軽い。
軽犯罪法1条
左の各号の一に該当する者は,これを拘留又は科料に処する。
(中略)
23 正当な理由がなくて人の住居,浴場,更衣場,便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
(拘留)第16条 拘留は、一日以上三十日未満とし、刑事施設に拘置する。
(科料)第17条 科料は、千円以上一万円未満とする。
これに対して、東京都は「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」(以下、迷惑防止条例)の5条1項2号において盗撮行為を明確に禁止しており、その罪は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金と軽犯罪法に比べて非常に厳しい処分を規定している。
(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第5条
1 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
(以下略)
(罰則)第8条
1 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(1) 第2条の規定に違反した者
(2) 第5条第1項又は第2項の規定に違反した者(次項に該当する者を除く。)
2 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(1) 第5条第1項(第2号に係る部分に限る。)の規定に違反して撮影した者
(2) 第5条の2第1項の規定に違反した者定に違反した者
私的な場所での撮影(軽犯罪法違反)と公的な場所での撮影(迷惑防止条例違反)で量刑がこれほどまで大きく違うというのも問題だと思うが、これほど社会問題化されている盗撮行為が何故刑法として明文化されていないのか疑問である。東京都が取り分け厳しく制限されていて、他の地方ではそれほど重たい罪に当たらないのだろうか。これはもう少し、地域別に調査をしてみる必要があるように思うが、いずれにしても盗撮を合法としている地域はないはずである。だとすれば、これは刑法に加えていいのではないだろうか。その場合、量刑は全国一律となるので量刑の設定には慎重に検討しなければならなくなるが…