二重の基準論-精神的自由権と経済的自由権

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問題提起

憲法21条は、表現の自由を最大限尊重しているが、当該権利は絶対的に保障されているものではない。憲法13条の「公共の福祉」に反しない範囲で最小限度で制限される。ここで、いかなる範囲の制約が正当化されるのかが問題となる。

規範定立

①表現の自由は、各人のアイデンティティやパーソナリティなどの人格を形成・発展させるのに直接に関わり、②一度表現の自由が過度に制約されてしまえば、国民は自由な発想に基づいた表現行為の一切をできなくなってしまい民主的な根幹に瑕疵を抱え、自己回復が容易ではなくなってしまう。③司法は、経済的自由権については情報や知識の面で行政や国会に劣るため、司法審査を十分に行うことは難しいが、精神の自由を審査することは可能である。
したがって、表現の自由を中心とする精神的自由権を制約する法律は厳しい審査基準となり、経済的自由権を制約する法律は緩やかな審査基準となる。