安すぎる罰金・高すぎる罰金

 罰金の額は刑法15条によって、1万円以上と規定されている。

(罰金)
第15条 罰金は、一万円以上とする。ただし、これを減軽する場合においては、一万円未満に下げることができる。

 しかし、金銭感覚は人によって様々で、1万円を高いと感じる人もいれば反対に安いと感じる人もいる。その金銭感覚はその人の収入、財産、家庭など様々な要因によって揺れ動くものであるが、刑法や迷惑防止条例が定める罰金は、被害の大きさ、被告人の態様、再犯の有無などで罰金の額が変動することがあっても、その人の経済状況や金銭感覚によっては変動しない。確かに刑法は罪刑法定主義の要請を強く受けるものであるから、裁判官個人の裁量で罰金額の軽重を容易に動かすことができるのは危険かもしれない。しかし貧富の差が拡大しているこの日本において、そのような形式的平等は果たして平等と言えるのだろうか。個々人の経済力を考慮にいれた上で、罰金の額を決め実質的な平等を目指してもいいように思う。

 そもそも刑罰の目的は、自分がした実行行為を反省し、将来において犯罪抑制させる類のものであるから、罰金によってその目的が達成できない人がいることも考慮に入れるべきだと思う。