第22条
1 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
目的
憲法 22 条 1 項は自己の従事する職業を決定し、かつそれを遂行する自由(職業選択の自由)を保障しているが、職業は、社会において個人が生活するための資を得るための経済活動であると同時に、その個人の社会における位置を決定する要因であり、かつ、個人の人格の発露でもある。しかし経済活動が外部行為である以上、社会に対して必ず何らかの影響は及ぼす。したがって、この経済的自由権は精神的自由権に比べて強度の規制を受ける。
制限を受ける理由
経済自由権が精神的自由権よりも強度の規制を受けるその理由は、
①経済活動に伴う社会生活上の秩序と安全の侵害からの保護
②社会国家の理念に基づく経済活動への政策的配慮の必要性
③経済活動は言論活動に比して民主制とのかかわりが薄く、脆弱性もない
ことがあげられる。したがって、法がこれに強く介入したとしても民主正義の過程において後から回復することができるとされている。
判断基準
規制目的二分論
規制目的二分論は、消極目的か積極目的かによって意見審査の基準(統制密度)を変化させる審査方法を取っている。
※常に消極・積極の二つの目的に区別しうるものではない。
(例)財政目的・租税徴収目的の規制:酒税法事件(最三判平成4年12月15日)
(例)二つの目的が併存している場合:農災法事件(最三判平成17年4月26日)
消極目的
国民の生命および健康に対する危険を防止もしくは除去ないし緩和するための規制で、社会公共に対する障害に比例し、目的を達成するために必要な最小限で行われる必要がある。※届出・許可・資格
厳格な合理性の審査
規制目的の必要性・合理性および同じ目的を達成できるより緩やかな規制手段の有無を、立法事実に照らして審査する方法
積極目的
福祉国家の理念に基づく、経済の調和的発展と社会的・経済的弱者の保護のための規制で、福祉国家の理念に照らして相当な目的と手段によって行われる必要がある。※特許性
明白性の原則
立法府の裁量を広く認めて必要性合理性の判断を緩やかにし、規制措置が著しく不合理であることの明白である場合に限って違憲とする審査方法